コロナ禍の発表会では演目にも影響がありました。

「眠れる森の美女」ですから、当初はオーロラ姫と王子のグラン・パ・ドゥ・ドゥを予定していました。

その他にも、いくつか男性ダンサーとの共演を考えていましたが、発表会の半年前の時点で、それは断念する決断をしました。

初めてのグラン・パ・ドゥ・ドゥにチャレンジしようと意欲を見せてくださった生徒さんには、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

でも、発表会当日のみならず、何か月も前から何度も練習を重ねなけらばならないこと、また、男性ダンサーにスタジオに来てもらったり、また生徒さんが都内のスタジオに行ったりと、移動のリスクも考慮すると、どうしても踏み切ることができませんでした。

後で舞台監督さんに教えていただいたことですが、都内の会場では、舞台に一度に立つ人数が決まっていたり、手をつないで踊ってはいけないなど、いろいろな制限があるそうです。バレエ協会が、正式に書面で発表しているバレエ発表会のガイドラインにも同様の記載がありました。

カーテンコールのときに、舞台上で花束の贈呈なども避けること、保護者の方からのお心遣いの受付のお花なども、辞退させていただきました。

コロナ禍では、人から人へ手渡しで物が移動するということを、なるべく避けるほうがよいとの舞台監督さんの貴重なアドバイスでした。

緊急事態宣言下の発表会は、いつもと同じではない、主催者の責任として肝に命じ、無事に開催できることだけを願っていましたが、そんな中でも、生徒さんは先生の熱心な指導を受け、素晴らしい成長を見せ、当日舞台でのびのびと踊ってくださいました。王子様のいない「眠り」も、先生方の演出、構成で、華やかで、あたたかい素敵な舞台となりました。